保護者(お子さん卒園生)インタビュー
Q.どのようなきっかけ・経緯でこの園を選んだのですか?
幼稚園は子どもが楽しんで通える園に行かせたいと思い、何か所か見学させてもらい探していました。
トエックの体験に行くと、子どもがスーッと自然に遊び始めたのと、園の子どもたちの空気感が心地よかったので、直感でここが良さそうと思いました。
Q.この園に通って、お子さんにとってよかったなと思うのはどんなときですか?
もともと食が細かったのだけれど、トエックでは畑作業もするし、体を使って遊ぶし、卒園前には「おかわり!」と言うようになっていました。
食が細いことを責められることもなく、長い目でみてもらいました。
トエックでは、いつも本人の気持ちを聞いてくれるから、自分の気持ちを言えるようになったし、自己肯定感がしっかりあるなぁと思います。
Q.この園に通って、ご自身にとってよかったなと思うのはどんなときですか?
トエックに入る前は、まわりの子と同じことができることが大事だと思っていました。
スタッフや他のお母さんの話を聞いて、共感したり、自分の話を聞いてもらったりするうちに、だんだんと楽になってきました。
人とちがうこと、輪に入れないことにイライラしたり、落ち込んでいた自分から、「自分は自分、子どもは子ども。いいところも悪いところもある」と、だんだんと今の状態を受け止められるようになって、「さあ、そこからどうしようか」と考えられるようになりました。
NPO法人自然スクールTOEC代表・伊勢さんインタビュー
Q. この学び場に込めている思い
大学1年生のとき、キャンプボランティアや自然体験の方が面白くなって、大学を辞めるために学生相談室に行きました。
そこで、恩師であるカウンセラーの先生に出会い、僕の話を丁寧に聞いてもらいました。
退学手続きのはずが、カウンセリングの学習グループに誘われて、「パーソン・センタード・アプローチ(※1)」を知りました。
その学習グループ自体が、教えてもらうのではなく、1人1人が自分の意欲や好奇心を起点に、自ら行動して皆で学びあうというやり方でした。
自分に問いかけをしながら、身をもって面白さを体験しました。
その後、野外教育の仕事をしたのち、85年に、フリーキャンプ(※2)とカウンセリングを柱にした「自然スクールTOEC」を始めました。
狙い通りの体験をさせるのではなく、意図を超える楽しさや学びがあるフリーキャンプをしてきました。
でも、やはりキャンプは非日常であって、人が育つ本丸は日常にあるとも感じました。
そんな頃、米国のオルタナティブスクール(※3)に行き、初めて「幼稚園や学校をつくる」という発想に気づきました。
つくるなら、親の支援を重視し、「いい親」を演じるのではなく、子育てを楽しめる場づくりをと考えました。
初めに幼児フリースクールをつくり、8年後に自由な学校の開校を決断しました。
「自由」といっても、目的は「自由にさせる」ことではなく、「自由になる」ことです。
文字や算数などどんなことでも、大人が教え込むことはしません。
一方で、おもちゃの持ち込みなど制限を設けることもあります。「アレがないと楽しくない」では、自由ではないと思うからです。
こうした一つ一つの各論は、親とのコミュニケーションがとても大切だと思い、夜などに定期的に話し合ってきました。
卒業生の成長ぶりが伝わるようになると、ようやく健やかなエネルギーが巡り始め、今は定員を超えるようになりました。
これからも、風通しがよく、オープンに話し合える学校づくりをしていきたいです。
(※1 カール・ロジャールが提唱した来談者中心のカウンセリング方法)
(※2 大人がプログラムを用意するのではなく、「今、やりたいこと」を子どもと共に相談して1日をデザインする自由なキャンプ)
(※3 プレイマウンテンプレイス[Play Mountain Place] ロサンゼルスにあるパーソン・センタード・アプローチを用いた学校・幼稚園)
幼児フリースクールスタッフ・スガさんインタビュー
Q. この学び場に込めている思い
TOECがまだキャンプ中心だった頃から、スタッフをやっていました。
あるとき伊勢さんの「幼児の場をつくりたい」という話を聞き、私ももともと幼稚園の先生になりたかったこともあって、一緒にやってみたいと思いました。
最初は、スタッフ2人と子ども5人からスタートして、10年くらいかかって今ぐらいの人数で安定するようになりました。
物は全部貰いもので、最初は建物もありませんでした。
絵本もカンパで、全部くれた方の名前が入っていて、絵本を読むときは一緒に読み上げています。
だからこそ、あるものを限定して、すっきりシンプルに、不便なことがあるのがいいと思ってやってきました。
幼稚園というよりも、農園の中で、遊んだり、食べたり、掃除をしたりという暮らしがあるという感じです。
毎日お風呂に入れて、洗濯も毎日するので、汚れても大丈夫。
こういう「生活」がある感じは、キャンプが土台だからというのもあるかもしれません。
親たちとも、つながることも大事にしています。
ペアレンツグループを土台に、個別にも話をしています。
子どもたちが、心も体も安心して過ごせる場所でありたいと思っています。
幼児フリースクールスタッフ・シーサーさんインタビュー
Q. この学び場に込めている思い
徳島の大学に通っているとき、TOECでキャンプボランティアをしました。
それからどんどんのめり込んで、4年間続けました。
その後、沖縄で小学校の先生を目指していましたが、違うなと感じました。
例えば、子どもの喧嘩の仲直りの仕方を大人が決めるのが当たり前でしたが、TOECでは、大人がスッキリするのではなく、子どもの気持ちに寄り添うことを大事にしていました。
そこで、タイミングよくTOECでスタッフ募集があったので、TOECの人たちと共に呼吸したいと思って、ここに戻ってきました。
幼児のスタッフになって、愛と勇気をいっぱい貰いました。
子どもと相談したりコミュニケーションが取れることが嬉しくて、こんな風にやっていけるんだ!と驚くほどです。
やりながら、ちょっとずつ、より正直なやりとりができるようになってきたと思います。
また、スタッフがたくさんミーティングをするのも素敵だと思います。
スタッフこそ、評価から離れて、お互いを丁寧に聞き合う時間が必要ですが、TOECにはそれがあります。
でも、子ども同士を見ていると、もっと自然に気持ちに寄り添い合っていて、見事だなと思います。
TOECに出会えて幸せだなと感じています。
元保護者現キッチンスタッフ・さくらさんインタビュー
Q. この学び場に込めている思い
まだ幼児スクールしかなかった頃に、ここに2人の子どもを通わせていました。
徳島出身で、東京の大学に通っていた頃、レクレーションやキャンプリーダーのお手伝いをしていました。
その後保育士をしていましたが、結婚して徳島に戻ってから、TOECを知りました。
1人1人の気持ちを大事に聞ける空間と時間に魅かれ、子どもたちを通わせました。
保育士だった頃は、大人も子どもも、気持ちよりスケジュールに組み込まれて、どうしても管理してしまっていました。
ここは少人数で、1人1人と会話できるのがいいと思いました。
ちなみに卒園した後は、地元の公立学校に入学しました。子どもたちの育ちを見て、どこに行っても大丈夫だと思ったからです。
卒園した後に私立保育園に勤めましたが、やっぱり辛くなって、何か手伝えることはないかと達郎さんに相談しました。
すると、ちょうどキッチンに人が必要なタイミングだったので、お手伝いすることになりました。
建物や設備や保育料などはマイナスと思う人もいるかもしれません。
でも、子どもたちとゆっくり向き合える時間があるのが、何より素敵だと思います。