京田辺シュタイナー学校 インタビュー

授業風景1

子ども(18歳/12年生)インタビュー

Q. 君にとって、この学び場ってどんな場所?

相手の立場になって考える事とか、社会に出て生きていく上で大切な学びが得られる場所かなって思います。
ここ(京田辺シュタイナー学校)では、演劇の授業や、卒業前に自分のテーマを持って深く学んでいく卒業プロジェクトがあります。今振り返ると思う事なんですけど、演劇って、自分以外の誰かの人生を生きる事、その人がどんな事を感じているんだろうと考える事だと思うんです。
それと、卒業プロジェクトでは世界の平和をテーマにしたんですけど、平和な世界にしていく為には敵の立場の人の気持ちを理解する事も大切なんだなと学びました。
演劇や卒業プロジェクトで学んだ相手の立場になって考える事って、演劇の時とかだけじゃなくて、社会に出て周りの人たちと話し合いをする時も大切だなと思います。
だから、いつも授業で学んでいる英語とか数学以外にも、こういう生きる上で必要な学びが得られる場所に来られて良かったなって思ってます。

この学び場に興味がある子へのメッセージ

ここは、いつどこでどんな新しい人が来ても、温かく受け入れる家族みたいな所だと思います。
ここでは1年生から12年生までクラスがずっと同じなんですけど、転校生が多くて私のクラスの約半分は転校生です。
例えば高等部の時に本当の自分を覆い隠そうとしている転校生が来て、でもクラスの皆は異質扱いする事もなく、特別視する事もなく。
そしてその子が翌年には「僕は、自分のことを覆い隠さなくてもいいんだなって思えて、嬉しかった」と話してくれました。
だから、どんな子も、いつでも、安心して来てもらえたらなと思います。

保護者(15歳・10年生の娘)インタビュー

Q. なぜこの学び場を選んだのですか?

最初にシュタイナー教育と出会ったのは学生時代、友達が勧めてくれた「ミュンヘンの小学生」という1冊の本がきっかけでした。
その後、結婚して子どもを授かったとき、なぜか忘れていたシュタイナーを思い出して、関連書籍を読みあさりました。「7歳まではあたまを育てるよりも、たくさん遊んで体を育てる事が大切」といった考え方に共感し、シュタイナー教育で子どもを育ててみようと思いました。
当時近所にシュタイナーの幼稚園はなかったのですが、親ができる範囲内で無理せず育てていこうとも思っていたので、比較的のんびりした地元の幼稚園に通園する事にしました。けれど、子どもが大きくなるにつれてテレビを見たり文字を覚えたりするよりも、体を使って目一杯遊ぶような環境とはどんどんズレが生まれてきて……
そこでシュタイナーの幼稚園に編入するために京田辺に引っ越しました。そのあと小学校に上がるタイミングで、シュタイナー教育をあまり知らない夫の冷静な判断も大切にしたいと思い、一緒に京田辺シュタイナー学校の体験授業に参加したんです。
その際に先生達がこの学校の良いところだけでなく、足りていない事も正直に話してくたので信頼できると感じました。
また、普段は母親べったりの娘が、見学中の託児では全く泣く事もなく自然と過ごしていて、ここ(京田辺シュタイナー学校)なら安心できると思って決めました。

Q. 不安は無かったですか?

ここに通うと、学籍のある在籍校では不登校扱いになり、卒業後に進学しなければ中卒となってしまう可能性もあるので、その点はやっぱり不安でした。私自身が学歴重視時代を生きてきましたし……(笑)
ただ、卒業生たちの姿が大きな安心になりました。
入学前に会った卒業生が「ここの先生の授業は本当に面白くて、学力も身につきますよ」と話してくれたり、子ども達もほぼ全員高卒認定試験を受けて合格していると聞いたりしたので、思い切って飛び込みました。
今では卒業生たちが様々な大学に進学したり、大学以外にも多様な生き方を自分で選んで進んだりしている姿があるので、そのような不安はなくなりました。
卒業生の今を生きる姿を見れば自然と安心できると思います。

Q. どんな場面で子どもの成長を感じましたか?

自分の事も相手の事も心から認める姿勢が育ってきたことに娘の成長を感じます。
私自身が中学生・高校生だった時は、自分の事だけで精一杯でしたし、無理して周りに合わせようとして頭も心もぐるぐるしてしまう時もありました。
けれど娘は、まだまだ幼い所もありながらも、自分の事も相手の事もしっかり理解しようとしている。周りに対しておかしいと思う事は正直に伝え、褒める所は褒めて、無理して周りに合わせるようなこともしない。
そうしてお互いが自然体でいられるようになってきていることにクラス全体の成長も感じています。
このような自分の事も相手の事も理解して認め合おうとする姿勢は、他の生徒達や保護者達にも共通していて、それも凄い事だなと思っています。

この学び場に興味がある保護者へのメッセージ

ここはパラダイスじゃないですし、ここにくれば問題全てが解決されるわけでもないと思います。
ただ、不完全な部分もあるけれど、「みんなで一緒に子どもを見守っていこうね」という思いを1人1人が持っています。
保護者が悩みを抱えた時にはお互いにクラス内、クラスを超えて相談できますし、ぜひ仲間として、一緒に子どもの育ちを支えていきましょう。

スタッフインタビュー

Q. この学び場に込めている思い

先生自身が素の自分でいる事、先生自身の生き様を通して子どもと向き合う事を大切にしています。
子ども達は、薄っぺらい言葉をすぐに見抜きます。
例えば授業の時、ただ単に知識だけを教えようとしたり「これはテストにでるよー」という表面的な話で終えると、生徒たちはシーンとしています。
けれど、先生自身が「これは面白い!」と思っている内容を話した時、子ども達は一気に食らいついてきて、イキイキ学び始めます。
私は社会科を担当しているのですが、環境問題の話や原子力の話をする時に「この問題について、私はこんなふうに考えている。君たちはどう思う?」と聞くと、子ども達はそれぞれに一生懸命考えて自分の意見を話してくれるんです。
これが、本当の学びだと思います。自分の人生と切り離された知識は子ども達に伝わりませんし、これからも自身の生きる姿を通して伝わることを大切にしていきたいと思っています。

Q. この学び場に興味がある親子へのメッセージ

「一緒にやりましょうよ」、です。
どんな悩みも聞きますし、1人で抱え込まないで、一緒に考えていく場所がここにはありますから。
どんな人に対しても常にウェルカムなので、まずはここに来て、一緒に話していきましょう。

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