北九州子どもの村小学校・中学校 インタビュー

ミーティングの様子

学校法人きのくに子どもの村学園/学校法人北九州自然学園学園長・堀さんインタビュー

Q. この学び場に込めている思い

両親が教員で、母親が僻地校に勤務しており、よく一緒に遊びに行っていました。
それがきっかけで僻地教育に興味を持ち、大学で研究するうちに、ニイルと出会いました。
デューイ研究の有坂先生や、ニイル研究の島田先生に師事し、ニイルとデューイを研究して修士論文を書きました。

その頃から、学校を作りたいとずっと思っていました。
80年代に、白根開善学校や自由の森など、新しい学校を作る動きが広がりました。
そこで、自分たちも84年に「新しい学校を作る会」を立ち上げました。

白根などが高校中心であるのに対し、高校からでは遅い、もっとはじめからいい学校ができないのかということで、小学校作りを目指しました。
それも、「あるべき姿の普通の学校」として作りたいという想いから、必ず認可を取ろうと決めました。

85年に、サマースクールなどを行う「山の家」を立ち上げ、子どもを集めながらスタッフの力をつけていきました。
しかし、開校は92年になってしまったので、山の家からの子は開校に間に合わなかった子も多かったです。
それでも、間に合った子と新しい子たちで、1~6年生合わせて90人でスタートすることができました。

12年に20周年を迎え、設立当初やりたかったことを実現できていると感じています。
卒業生も、これまで12人が学園の先生になってくれました。
いいマンネリといえる安定感を持ちながら、大胆な試行錯誤も止めずに、普段の実践を深めていきたいと思っています。

子どもたちが、「自分は自立している」「自分は本来の自分である」と思えるようになる学校でありたいです。
そして、自分自身であり続けることができる人間を育んでいきたいと思っています。

寮母/保護者・鈴木さんインタビュー

Q. この学び場に込めている思い

子どもが小さい頃、堀さんの本を図書館で読みました。
こういう学校に入れたいなと思いつつ、きのくにやかつやまは遠いなと思っていたところ、南アルプスが開校しました。

下の子を入学させ、とても楽しそうにしているのを見て、公立に通っていた上の子も通いたいと言い出しました。
しかし南アルプスは定員で、北九州なら入れるということで、二人とも北九州に転校しました。
私も近くに移住して、事務をやらせてもらっていましたが、前の寮母さんが出産で辞めたため、寮母になりました。

Q. どんな場面で子どもの成長を感じましたか?

子どもたちは、この学校に入れて優しくなったと感じます。
小さい子をさりげなくフォローしたり、周りのことを考えて行動するようになったと感じます。

寮の子どもたちも、私の仕事もさりげなく手伝ってくれたり、気がきいて優しい子が多いです。
小さい子はホームシックになりますが、周りの子が声をかけ、面倒を見てくれています。
学校とも違った人間関係があり、関係づくりや距離感の取り方がうまいなと感じます。

上の子はきのくにの高専に入りましたが、「皆が大人で優しい!」と言っています。
親だけでなく、学校の大人や寮の仲間に育ててもらうことで、いい子に育つように感じています。

副校長兼中学校担任・高木さんインタビュー

Q. この学び場に込めている思い

新潟で公立学校に勤めていましたが、学生の頃から、「評価」に疑問がありました。
通信簿を五段階に分けて評価しても、本当にその子の成長が分かっているとは思えませんでした。

知り合いの方がフリースクールを始めたので、違う形の子どもの場で働いてみたいと思い、公立学校を辞めました。
でも、不登校向けはちょっと違うかなと感じていたところ、かつやま子どもの村が開校し、ご縁があって働かせていただくことになりました。

9年間かつやまにいた後、お手伝いでこちらに派遣され、一度かつやまに戻りましたが、また希望してこちらへ来ました。
公立と比べて、子どもたちと大人の距離が近いので、構えなくていいのが楽です。
一緒になって考え、遊び、悩んで、「ばっかだねー」などと子どもたちに言われながらやるのを楽しんでいます。

また、公立では何をいつまでにやらないといえないと決まっていて、それに追われる厳しさがありますが、ここでは自ら考えて創っていく楽しさがあります。
何年やっていても、毎年子どもは違うし反応が違うので、今でも試行錯誤しながら創りあげています。
これからも、基本は守りながらも、子どもたちの要求に合わせて発展させていきたいと思っています。

教師・藤原さんインタビュー

Q. この学び場に込めている思い

地元が福岡で、九州の教育大学に通っていました。
授業で、公立とは違う学びの場を見学する機会があり、この学校の見学をしたときに、とても衝撃を受けました。
こんな楽しい学校もあるんだ、というのが忘れられず、夏休みにサマースクールのボランティアをさせてもらいました。
そして幸運なことに、卒業するときに教員として採用していただきました。

はじめは、和歌山のきのくに子どもの村小学校で3年勤めてから、この学校に戻って来ました。
この学校は、和歌山に比べて少人数なので、小学校と中学校がより近いと感じます。
中学生の子が小さい子にすごく優しくて、合わせてあげたり一緒に遊んであげているのが素敵だなと思います。

教員になって気づいたことは、大人は自由にやっているように見えても、裏でとても丁寧に準備をしているということです。
一方で、全部をかっちり決めるのではなくて、子どもが自分で発見したり気づいたりできる雰囲気を大切にしています。
子どもってここまで自分から動けるんだ、と思うほどです。
自分に余裕がないと、子どもも笑わなくなっちゃうので、大人だからといって変に頑張りすぎず、心の余裕を大切にしたいなと思っています。

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