子どもインタビュー
Q. 君にとって、この学び場ってどんな場所?
●17歳在学生:
ここは、人と出会う場所でした。
普通の公立・私立の学校よりは人との出会いが多いし、距離感も密接だし、とにかく繋がりが濃いです。
僕は寮生でもあって、部屋でみんなと夜中の2時くらいまで語り合うこともあります。この学校の問題点とか、珊瑚舎をもっとこう良くしていけるんじゃないかとか、生徒と大人達のコミュニケーションをこうしていった方がいいんじゃないかとか。
そして、そういう出会いや対話の中に、学び、問い、気づきがあります。
「これ、どうしたらいいんだろう?どう伝えたらいんだろう?」というモヤモヤが生まれます。
そういうモヤモヤがなかったら楽だと思うんですけど、でも、今振り返ってみると、モヤモヤしながらも皆と向き合って、自分と向き合って、その中であやふやな自分の存在がしっかり成長していったなという感覚があります。
珊瑚舎で今までやってきたことに対して、何も不安はないですし、間違ってなかったなと思っています。どこに行っても、自分ならやっていけると思っています。
●18歳在学生:
自分は小2から不登校でした。理由は、学校が楽しくなくて、授業も面白くなくて。
そんな時に、地元の京都で珊瑚舎スコーレ代表・ほっしーの講演会に参加して、珊瑚舎に体験に行ってみたら「楽しい!」「ここに行きたい!」と思って中等部からここに入りました。
普通の学校だと人数が多いですけど、珊瑚舎は人数が少なくて、生徒とも先生とも距離が近くて。授業でも「俺、学んでる!」「楽しい!」と感じていました。
珊瑚舎では、基本的に生徒が主体になって学校が動いています。
授業でつまらないと感じた時には、生徒側から「こうしたい!」「もっとこんな授業にしてみるのはどう?」と提案して、生徒も講師も対等に話し合います。
講師からも提案があれば、皆で話し合います。
他にも、修学旅行もただただ楽しむだけじゃありません。その土地の歴史や文化について事前に本気で勉強していって、「楽しむため」だけではなく「学ぶため」に修学旅行に行きます。
今まで18年間生きてきて、珊瑚舎で様々なことを経験して、「学びは、常に周りにあるんだな」と思うようになりました。
ぼーっとしていたら気づけないけど、意識したら姿を現わす。学びと本気で向き合って、周りと意見をぶつけ合って、その中で知識も身につけていって、新しい視点も増えていって。
それこそが学びだと思うし、珊瑚舎には、そういう学びが詰まっているなと思います。
●22歳在学生:
以前は北海道の大学に行っていたんですが、講義がつまらなくて……。
中学・高校で学んだことを振り返るくらいで、ただただ聞くだけの講義。私はもっと周りと議論したいなと思っていて、物足りませんでした。
そして、あるキッカケから珊瑚舎に来てみた時に、授業がめちゃめちゃ楽しいなと感じました。
聞くだけの授業もあるけれど、みんなで議論することも多くて。
つまらなかったら先生に「つまらない!」と言える空気があります。
先生側も「そういう時はどんどん言って!」という雰囲気です。
生徒同士、敬語もなく上下関係もなく、今では兄弟がたくさんできた感覚ですね。
大切な兄弟たちがいて、第二の家というか、もう、家ですね。
この学び場に興味がある子へのメッセージ
●17歳在学生:
ここは、楽しい場所ではないです。自分で楽しくしていく場所です。
ルールも無いし、罰則も無い。遅刻しても休んでも、何も言われない。
ルールがあるとその時は守るかもしれないけど、ルールがない環境に飛び出したら、自分を律することは難しくなる。
誰かに決められたルールがない中で、何も考えずただ大人の指示に従えばいいわけでもなくて、自分たちでルールも作ってやり方も考えて、周りも巻き込んで……。
それって難しいことだと思うんです。
でも、だからこそ、その中で自分たちで考えて、自分たちで何かを作り上げていく時に生まれてくる楽しさって、ものすごく大きい。
それともう一つ。珊瑚舎は、あなたのことを「○年生の子」とか「生徒」とか、そういう枠組みの中で見ようとしていません。
他の誰でもない、世界に1人しかいない「あなた」として見ています。
小学生だから○○しましょうねとか、高校生だから就職先を考えましょうねとか、そういう一般的な考え方はしません。
「あなた」は何をしたいの?「あなた」はどんなことを考えているの?と問われます。
何も持たずに、うだうだ考えずに、とりあえず来てみてください!
きてみりゃわかるさ。なんくるないさーよ。
●18歳在学生:
学校の学びとか、学校生活に悩んでこの場所を見つけた時には、ぜひ、体験に来て欲しいです。
この場(珊瑚舎)が合わない人もいると思います。
でも、今悩んでいる人とか引きこもっている人の中にも、ここでの新しい学びや新しい出会いを楽しめる人もいると思う。
僕自身、学びが楽しい、意見を交換し合うことが楽しいって、珊瑚舎の体験で感じたし。
見学だけでもいいから、まずは足を運んでみてください。
●22歳在学生:
今働いている人とか、ちょっと進路で悩んでいる人とか、大学がつまらない人とか、やりたいことが見つからない人とか、次の道が見つからないのであれば、珊瑚舎に来てみれば何か見つかるかもしれません。
私は22歳で、みんなとは年齢も離れていて、はじめは馴染めないだろうなーと思っていました。
でも、珊瑚舎では学校での学びを終えた人たちが学ぶこともできて、気づけば初等部の子、中等部の子、高等部の子たちとも兄弟のような仲になりました。
ゆっくり休憩もできるし、勉強もできます。
年齢で壁を作らずに、「自分は○歳だから、こういうことをした方がいいんじゃないか」とか気にせずに、興味があったらここに来てみてください。
保護者インタビュー
この学び場に興味がある保護者へのメッセージ
子どもの不登校を経験したことで、私自身がずいぶん学ばせてもらいました。
学校に行きたくない!という意思を小さいながらもはっきりと示してくれた子どもに、今は感謝しかありません。
大きくなった彼は不登校だった時間を、自分に必要な時間だったと振り返ります。
学びの多様性がもっと認められる社会になれば、それぞれの個性が輝き、生きやすく平和な世の中になるのではないかと。
そんなことを気づかせてくれるたくさんの出会いが珊瑚舎にはありました。
珊瑚舎で学べたことは彼にとっても私にとっても大きな宝物です。
スタッフ・松田様インタビュー
Q. この学び場に込めている思い
私は、大学院生の時に知り合いの紹介がきっかけで、珊瑚舎で週1回社会の講師をしていました。それまではフリースクールと呼ばれる場所に行ったことがなく、そもそも学校以外に学ぶ場所があるという発想もなく、最初はかなり身構えていましたね(笑)
ただ、はじめての授業の時に生徒たちがあまりにもフレンドリーで活発で、自分の意見をしっかり持っていてびっくりしました。フリースクールに通う生徒の像がひっくり返りました。
その後、県外の高校で4年間教師を務めて約40人の授業を担当していたのですが、生徒たちの考えを聞いたり反応を見るよりも知識注入・時間通りに進めなければいけない等の決められた枠があり、葛藤していました。
高校教師を辞めて珊瑚舎に戻ってきてからは、一人一人の反応が見えますし、生徒同士でも生徒と私たち講師の間でも「人と違ったことを言ってもいいんだ」「きっとみんな聞いてくれる、受け止めてくれる」という安心感があって、皆いろんな意見を発してくれます。
授業が面白くなければ生徒たちから「こうしたい」といった提案も出てきますし、私たちも提案していきます。
これだけエネルギーがいっぱいの子どもたちを見ていると、この先1人1人がどんな進路を選んでいったとしても「きっと面白いことするんだろうな」とワクワクしますね。
Q. この学び場に興味がある親子へのメッセージ
ここには、不登校だった子、学校に合わなかった子、通っていた学校よりも珊瑚舎の方が面白そうだと思って来てくれた子など、たくさんの子がいます。
一方で親御さんの中には、子どもが学校に合わなくなると「どうしよう、どうしよう」と困ってしまう方もいると思います。
でも、学校以外の選択肢もありますし、全国的にもたくさんの選択肢が増えてきています。生徒の数だけ、学び方の数があります。
親御さんには、その子自身のタイミングに合わせて「いろんな学び方、進み方のスタイルがあるんだよ」と伝えてあげて頂ければなと思いますが、子どもは親に先回りされて色々言われるのが嫌なこともあるので、まずは何より「あなたは大丈夫!」という気持ち大切にして頂ければと思います。