【解説】シュタイナー教育とは?

からだ・こころ・あたまが調和した『自由』な人間へ

シュタイナー教育は、ルドルフ・シュタイナーによって提唱された教育です。
シュタイナーは、自らの意思によって行動できる『自由』な人間へと成長するためには、「からだ(意志)」「こころ(感情)」「あたま(思考)」の調和が大切だと考えました。
そして、0~7歳は「からだ(意志)」が、7~14歳は「こころ(感情)」が、14~21歳は自立した「あたま(思考)」が育つ時期だと捉え、それぞれの時期にふさわしい教育方法を考案しました。
成長の段階に合わせた学びによって、「知・情・意」をバランスよく育てる教育です。

幼児教育から高等教育までを見通したカリキュラム

幼児教育では、健やかな「からだ(意志)」をはぐくみます。
ままごとや運転手ごっこなど、生活の営みを模倣する遊びを大切にし、健康な意志の力と想像力を育てます。

初等・中等教育では、豊かな「こころ(感情)」をはぐくみます。
先生のイメージ豊かな語りや、色彩・音楽などを使った芸術的な活動を通して、心を動かしながら学びます。

高等部の教育では、しなやかな「あたま(思考)」をはぐくみます。
論理的・哲学的な思考を発展させる一方で、職業体験・福祉実習・卒業研究/発表などの実体験も通して、「世界と自分」への理解を深めていきます。

年齢ごとの子どもの変化に合わせた環境づくり

シュタイナー教育では、各年齢の子どもの発達に合わせた環境づくりをします。

幼稚園・保育園では、異年齢の縦割りクラスで育ちます。
室内はピンク色のカーテンや柔らかい光で、温かく安心できる空間づくりをします。
おもちゃは天然素材の素朴なもので、自由な想像力をはぐくみます。

学校では、学年(1~12年生)ごとにクラスが分かれています。
教室の色彩は、学年を上がるごとに、暖色から寒色へ、そして再び暖色へと、色環のように変化させていきます。
色彩や音、教具の素材など、子どもたちが感覚を通して受け取るものを大切にしています。

歴史と現在

シュタイナー教育の提唱者であるルドルフ・シュタイナー(1861-1925年)は、オーストリア(現在のクロアチア)生まれの哲学者です。
その哲学は、教育だけでなく、社会・経済・医学・農業など、幅広い分野に影響を与えました。
最初の学校は、第一次大戦直後の1919年に、ドイツで設立されました。
その後、学校・幼稚園ともに世界中に広がり続け、現在、世界60ヶ国以上に1,000校以上の学校と1,500園以上の幼稚園があります。
日本では、全日制学校が7校以上、園は50園以上あり、土曜学校や親子クラスなども開催されています。

豆知識

シュタイナー教育は、海外では「ヴァルドルフ(Waldorf)教育」と呼ばれています。
ルドルフ・シュタイナーが最初に設立した学校は、ある工場の労働者子弟のためのものでした。
その工場を経営する会社名(ブランド名)の一部を取って、「ヴァルドルフ教育/学校」と名づけられたのです。
日本では、70年代にベストセラーとなった著作「ミュンヘンの小学生」で「シュタイナー教育/学校」と表現されていたため、こちらの呼び方が広まりましたが、日本でも、学校・園の名前に「ヴァルドルフ」と入れているところもあります。

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関連リンク

⇒「シュタイナー教育」の学校・園 一覧

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