【解説】森のようちえんとは?

教育の特徴

多様な自然の中で、主体的な活動を通して育つ

森のようちえんは、0歳~幼児の子どもが対象の、自然体験を基軸にした保育・幼児教育の総称です。
森、海、川、野山、畑、自然公園など、広義の自然の中で、子どもが主体的に活動することを中心とします。
保育者は、子どもが自分の意志で行動し、実体験から学べるような関わり方をします。
変化に富んだ自然に、柔軟に対応していくこと。
自分で不思議や興味を見つけ、工夫して遊びを作り出すこと。
仲間と刺激し合い、助け合って共に過ごすこと。
こうした体験を通して、自然・人・社会と調和しながら、自分らしく生きていく力を育ていきます。

自ら成長できるよう配慮しつつ、信じて見守る

木の棒を拾う、落ち葉に見とれる、崖を登る、虫を捕まえる……自然の中には、子どもの好奇心を引き出すものがたくさんあります。
雨の日や風の日でも野外に出かけ、色々な天気や季節、それぞれの楽しさや大変さを体験します。
少し危ないことに挑戦したり、小さな怪我をすることも、子どもの成長に必要だと捉えます。
自由遊びが大切にされますが、話し合い、創作、料理、農作業など、多彩な活動も行われます。
ただ自然に野放しにするのではなく、子どもが自ら成長できるよう配慮しつつ、信じて見守るのが、森のようちえんの大人の役割です。

人間関係も体験から学び、社会性をはぐくむ

森のようちえんでは、自然体験だけでなく、社会性をはぐくむ場づくりも大切にされています。
基本的に、異年齢の縦割りで、お互いに助け合い、学び合います。
上の子が下の子を助け、下の子が上の子に憧れるといった経験が、成長の機会になります。
喧嘩やトラブルも、すぐに大人が口や手を出し過ぎず、子どもが体験から学べるように見守ります。
自然の中での活動で、周りの状況を自分で判断して行動する体験も、社会の中で活きていきます。
ありのままの自分を大切にしながらも、多様な人や社会と協調できる力を伸ばすことを目指しています。

歴史と現在

森のようちえんは、1950年代半ば、デンマークの一人のお母さんが、我が子や近所の子どもを毎日森に連れて行って保育をしたのが始まりと言われています。
自然の中での幼児教育・保育への共感が広がり、現在、北欧・ドイツでは300以上の園があります。

日本でも、もともと野外教育・保育は存在しましたが、「森のようちえん」の概念が伝わることで価値が再認識され、2008年、共通の理念を持った全国の幼稚園・保育園、自主保育、NPO等がつながって全国ネットワークがつくられました。
現在も、その輪は広がり続けています。

豆知識

日本の森のようちえんは定義が広く、幼稚園・保育園・自主保育などによる全日制から、サークル・親子クラスなどによる週1~2日制、自然学校などによるイベント型など、様々な形態があります。
メディアで「園舎がない」と紹介されることもありますが、実際はない場合もあればある場合もあり、色々なやり方が可能です。
スタイルに多様性があるため、始めやすく、広まりやすいのが特徴です。
近年は森林活用や地方活性の観点から、各地方自治体が支援することも増えています。

関連リンク

⇒「森のようちえん」の学校・園 一覧

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